07th 5月2014

OTOSHA55「農学:食糧危機ってくるの?」受講記録

by tenpei

おとなの社会科、スタッフの天平です。今月は「農学:食糧危機ってくるの?」について学びました。以下、2点にわけて書いていきます。

(1)農業の工業化
(2)儲かるのは資本家

 
(1)農業の工業化
私達が農家と聞いてイメージするものはなんでしょうか?自然の豊かな場所で、植物や家畜をゆったりと育てている?そのようなイメージと実態は大きく変わっています。

映画『フード・インク』『ありあまるごちそう』の予告編動画を約3分、見て下さい。

鶏の生産工場は生き物を育てる場所ではなく、モノをつくる工場ですね。これを見て、あなたは何を思いますか?私達の食べている食べ物は、食べ物とよべるのでしょうか・・・

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20th 3月2014

OTOSHA54「経済学:お金ってなんだっけ?」受講記録

by tenpei

おとなの社会科、スタッフの天平です。今月は「経済学:お金ってなんだっけ?お金が増えるってどういうこと?」について学びました。今回は読みやすいようにお金の歴史を書いてみましたので、以下(1)~(8)までお楽しみ下さい。

 

(1)物々交換の時代

むか~しむかし、人々は物々交換で不自由なく暮らしていました。税もお米など、現物で納めていました。支配者(王様やお殿様)は治安維持などをするかわりに、民から税を徴収していたわけですね。ここで悪巧みをする支配者が現れます。なにやらお金を流通させると良いことがあるらしいぞ。しめしめ、やってやろう!

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21st 2月2014

OTOSHA53「哲学:価値観ってどうやってつくるの?」受講記録

by tenpei

おとなの社会科、スタッフの天平です。今月は「哲学:価値観ってどうやってつくるの?」について学びました。以下3点に分けてまとめていきます。

(1)なぜ哲学が必要か?

(2)思考プロセスの違いに注目せよ

(3)リベラルの課題

※各原理の違いは「サンデルの政治哲学」の受講レポートを参考にして下さい。 http://otosha.com/?p=409

 

(1)なぜ哲学が必要か?

私達の生活に影響のある物事が決められていく時に、どのように決められていくのがよいでしょうか?宗教に基づく説明?伝統に基づく説明?カリスマの発言?多数決?原理原則に基づく説明?

誰とでも共有できる原理があって、その原理に基づいて物事が決められていけば、よさそうですね。哲学はこの普遍的な原理を追い求めているのです。

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30th 1月2014

OTOSHA52「歴史学:戦争ってなぜするの?」受講記録

by tenpei

おとなの社会科、スタッフの天平です。今月は「歴史学:戦争ってなぜするの?」について学びました。以下2点に分けてまとめていきます。

(1)歴史を学ぶ面白さ!

(2)明治維新から第二次世界大戦敗戦までを一気読み!

 

(1)歴史を学ぶ面白さ!

歴史は単純な年号や登場人物の記憶、試験対策ばかりしていたから面白くない!以下のポイントを意識すると、歴史がとっても面白くなります!!

・暗記は最小限に。

・年数のスパンを長くとって、ダイナミズム(大きな動き)を見る。

・歴史にifを持ち込む。もしこうだったら?を考える。(仮説を立てる力は、未来を考える力)

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22nd 1月2014

受講の感想・意見

by paco

受講者からの感想です。

 

 

このセミナーではこれだけの情報があるのに、一般の私たち含めほとんど情報がない。直近のこの約10年間の間に追い抜かれてしまった日本は一体何をしていたんだろうと思う。

鳩山さんの25%発言はバカじゃないか?とおもっていたけど、目標の考え方とかを含めて体系的に教えてもらえると、自民党の5%発言の方が筋が悪いと言うことがすっきり分かりました。

ラジオとセミナーでは頭に入ってくる情報量が違うので、なんとしても参加したいと思って参加しました。ビジネスマンなので、今後はFIT(フィード・イン・タリフ)に流れていくだろうと思いつつ、ビジネスチャンスをどう捉えようかと考えています。ただ、日本経団連の圧力やエネルギー業界の反発という問題はリスクとして考慮に入れておく必要がありそうです。

マクロとミクロの両方の視点から学びが深まりました!

(メーカー勤務・男性) 東京のCap-and-Tradeの話は、勤務先にも関連のある身近な話で、ミクロの視点なのに、これまで気付かなかった話題でした。逆に、OTOSHAでは、これまで、マクロの視点からの学びも沢山ありました。以前、現代史(マクロの視点)を学んだ際には、日本が戦争から引き返せなくなった「ターニングポイント」を学びましたが、今回のCap-and-Trade(ミクロの視点)もまさに環境問題のターニングポイントではないかと感じました。そうしたターニングポイントに立ち会っている自分を実感することが出来ました。

無理して頑張ることだけが環境を良くすることではないんですね・・・

(マスコミ勤務・女性) OTOSHA14「地球温暖化」Day3は、東京都のCap-and-Tradeの話でした。これまで、温暖化対策と言えば、電気を小まめに消すとか紙の使用量を減らすとか・・・頑張って我慢することが対策と思うことが多かったです。でも、Cap-and-Tradeは、大量にCO2を排出する者は無理して頑張るのではなく、他から買えばいいという発想です。そうした発想の転換が勉強になりました。

これからの環境問題、「知恵」で勝負していきたいです!

(太陽電池メーカー勤務・男性) 日本では、企業の太陽電池使用に対してインセンティブを与える政策が弱いです。OTOSHA14「地球温暖化」Day3で学んだ東京都のCap-and-Tradeは、まさに企業に環境対策にインセンティブを与える「知恵」のある政策です。このような世界から注目される「知恵」を太陽電池も含めた環境の分野において、日本がリーダーとしての立ち位置で世界を牽引していくようになればいいなと感じました。

自分で何かできそうなことのヒントが貰えました。

(ITメーカー勤務・女性) OTOSHA14「地球温暖化」Day3は、東京都のCap-and-Tradeの話でした。将来、いずれは田舎に行くことを考えています。田舎にいても、地元企業に働きかけて、東京の大企業に排出権を売るビジネスに関わって行くことができそうに思えました。

OTOSHAで学んで、物事の見え方が変わってくる!

大学生(女性) 今まで、自分の身の回りでは、ニュース報道等を観ていても、単に事実が羅列されているだけで、面白みがありませんでした。しかし、OTOSHAで学んで、色々な事実も、相互のつながりを理解して見ていくようにすれば、立体的に面白く見えて来るようになることを学びました。物事の見え方が変わってきます。

OTOSHAで学ぶような物事の根本的な解決策が、今、求められている

人材研修業務従事(女性) OTOSHAを学んで、報道される色々な政策等は、ほとんどが小手先の戦術論に終始していることが見えてきました。時代の大きな転換期を迎えている今、日本には根本的な解決策が必要に思えます。そのためには、OTOSHAで学ぶような戦略的発想を元にして、人々の意識を変えていく必要があると思います。

新入社員には、OTOSHAで学ぶ戦略的発想を学ぶことが求められている

マスコミ勤務(女性) OTOSHAで「地球温暖化」を学び、戦略のない小手先の戦術論で温暖化対策に取り組んでも、エネルギーロスが大きくなることに気付かされました。翻って、新入社員教育を思い返すと、初心者だからという理由で、小手先の戦術論ばかり学ばされていると思います。フレッシュな彼らにこそ、大きな視野での戦略論を学ぶことが求められていると思います。

OTOSHAで学んで、物事の見え方が変わってくる!

大学生(女性) 今まで、自分の身の回りでは、ニュース報道等を観ていても、単に事実が羅列されているだけで、面白みがありませんでした。しかし、OTOSHAで学んで、色々な事実も、相互のつながりを理解して見ていくようにすれば、立体的に面白く見えて来るようになることを学びました。物事の見え方が変わってきます。

OTOSHAで学ぶような物事の根本的な解決策が、今、求められている

人材研修業務従事(女性) OTOSHAを学んで、報道される色々な政策等は、ほとんどが小手先の戦術論に終始していることが見えてきました。時代の大きな転換期を迎えている今、日本には根本的な解決策が必要に思えます。そのためには、OTOSHAで学ぶような戦略的発想を元にして、人々の意識を変えていく必要があると思います。

新入社員には、OTOSHAで学ぶ戦略的発想を学ぶことが求められている

マスコミ勤務(女性) OTOSHAで「地球温暖化」を学び、戦略のない小手先の戦術論で温暖化対策に取り組んでも、エネルギーロスが大きくなることに気付かされました。翻って、新入社員教育を思い返すと、初心者だからという理由で、小手先の戦術論ばかり学ばされていると思います。フレッシュな彼らにこそ、大きな視野での戦略論を学ぶことが求められていると思います。

死刑執行は、犯罪の原因究明を阻んでしまう (大学生 女性)

死刑制度は、単純に「悪い人をこの世から消す」だけの仕組みです。たとえば、既に死刑執行された宮崎勤は、獄中から出版し、児童虐待を戒める提言を行っています。こうした犯罪防止に向けた犯罪者自身の生の声を国がシステムとして吸い上げていくような仕組みづくりが大切だと思います。

死刑制度は、代替策の検討こそが大切な検討課題(人材研修業務従事・女性)

美達大和の著作を読むと、懲役受刑者が刑務所内で楽しみながら生活を送っている様子が描写されています。これを読むと、一見、死刑制度が必要のようにも思えてしまいますが、実は、苦しみの少ない死刑執行よりも、もっと受刑者を実質的に苦しめる死刑の代替策を検討する方が合理的と思うようになりました。

「万能感」を突き詰めることばかりが正しくないことを学んだ(マスコミ勤務・女性)

死刑執行により被害者の感情が満たされると考えるのは、「人間はあることをすれば満たされるはず」といった万能感からも来ることを学びました。しかし、たとえば、犯人が分からずに迷宮入りしてしまった場合の被害者は、感情が満たされないことになってしまいます。そもそも、犯罪というのは元々あらがいようのない「どうしようもないこと」と捉える事もできます。「すべて解決可能」とする万能感によるのではなくて、どうしようもないことにどう対処するにはどうすればよいのか、と考えていく方が、実は生産的な場合もあることを学びました。

 

 

 

09th 12月2013

OTOSHA50「社会のためになるビジネスってどんな?」受講記録

by tenpei

おとなの社会科、スタッフの天平です。今月は「社会のためになるビジネス」について学びました。以下4点に分けてまとめていきます。

(1)社会のためになることは、誰がやるもの?

(2)株式会社とNPOの違い

(3)株式会社と変わらないNPOの運営

(4)メッセージングは「楽しさ」「気持ちよさ」の追及

 

(1)社会のためになることは、誰がやるもの?

本来、社会的な問題を解決するのは公的機関の仕事です。しかし、公的機関の仕事が不十分なため、民間団体がやらざるおえない状況となっています。

古くはお寺や教会が宗教的な意味合いも含めて社会的な活動を行ってきました。そこからより多くの人が参加し易くなるよう、宗教的な色を外したのが、NGO(non-governmental organizations)やNPO(Nonprofit Organization)と言えます。

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22nd 11月2013

OTOSHA49「フリーテーマ@医療」受講記録

by tenpei

おとなの社会科、スタッフの天平です。今月のフリーテーマでは「医療」について学びました。以下、3点に分けてまとめ

ていきます。

(1)オルタナティブ医療って?

(2)西洋医学との両立

(3)終末医療 幸せな死とは?

 

(1)オルタナティブ医療って?

「オルタナティブ」とは「代替」という意味です。つまり、オルタナティブ医療とは「通常医療(西洋医学)の代わりに用いられる医療」ということです。具体的には鍼灸、漢方、西洋ハーブといった、伝統的な療法が挙げられます。これらは人類の長年の経験(人体実験)によって効果があることが認められているものです。

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11th 11月2013

OTOSHA48「これからの働き方って?」Day1受講記録(by JIN)

by JIN

おとなの社会科CS担当のJINです。
OTOSHA48「これからの働き方って?」Day1の受講記録を書きます。

10月から、おとなの社会科では、「分かりにく議論を整理すること」を目標として、月2回のセミナー構成としています。Day1ではあらかじめ定めたテーマに沿ってpacoさんの講義を中心に進め、Day2は、出席者の疑問に関するフリーディスカッションにします。

Day1は、デジタルハリウッド大学のご厚意により教室を借りて行いました。

Day1で、私自身、クリアになった点は、次の3点です(講義の内容全般については、菊地天平さんの投稿をご参照ください)。
■15年後には、働く場所・時間の裁量権が労働者に移る
■過重労働のセーフティーネット・モデルとして高福祉国家がある
■過重労働の結果としてエクソダスが考えられる

以下、具体的に書きます。

■15年後には、働く場所・時間の裁量権が労働者に移る

今から15年前の1998年を振り返ってみると、Windows95が発売されて間もなく、名詞にメールアドレスやホームページの記載は珍しく、PCは印刷用の機械でした。

それが今や1人1台のPCは当然で、モバイルやスカイプ等と組み合わせれば、24時間、どこにいても仕事が可能な環境が整っています。

15年後の労働環境を想定すると、こうした環境は更に進展していると考えられます。そうなると、働く時間をどこで区切るかは労働者の側の裁量になってきます。

■過重労働のセーフティーネット・モデルとして高福祉国家がある

しかし、現行労働法は、あくまで使用者に労働環境の規制をかけています。そのため、労働者がどのように労働環境をコントロールするかについて、労働法で規制をかけるのは無理です。そもそも、労働者が「自由意思」で労働環境を設定するのに対して法規制をかけること自体が、法理論上、困難です。

ところが、実際には、たとえば、自宅に労働が持ち込まれた場合に、仕事とプライベートを時間的・場所的に区分するのは極めて困難です。どうしても、ズルズルと仕事の時間が長くなってしまい、過重労働に陥る可能性が高くなると考えられます。

こうした問題を解決する1つの方法が、雇用対策を手厚くする高福祉国家化です。つまり、過重労働で会社への適応が困難になった人は、その会社から離れ、失業手当を受けながら、別の職業への訓練を受け、次の就職へと繋げていくという仕組みです。

実際に、北欧諸国ではこうした雇用政策が取られており、失業状態の人に対してマイナス・イメージで捉えられていません。そこには、人に対する根本的な信頼があって、失業者は単に社会の不備で一時的にスキルが足りていないだけで、そこを補えばいつでも職場復帰できるという考えがあります。

■過重労働の結果としてエクソダスが考えられる

しかし、日本では、職場不適応は自己責任という発想が強く、北欧のようには雇用のセーフティネットが整っていません。

結果として、自分で労働の場所や時間を制御し切れずに過重労働に陥る人が選択するだろうと考えられるのが、エクソダスです。これは、沢山働いて沢山稼ごうという資本主義の想定モデルから脱出してしまおうというものです。たとえば、農村に入って自給自足の生活に入ったり、最低限の年収100万円の稼ぎを元にシェアハウスを利用する等して生活を安定させる、といったライフスタイルが考えられます。

こうしたエクソダス人口が増加していくと、明治維新以来の中央集権モデルが成り立たなくなります。これまでの中央集権モデルでは、金儲けが幸福を図る基準である事が前提とされていて、都会の儲けを農村に流す事で、中央は地方をコントロールしてきました。しかし、農村がそれ自体で閉じたネットワークをつくり都会への農産品販売を必要としなくなると、都会と農村が取引も無い状態で分離していきます。そうなると、都会は都会で、シンガポールのように都市国家化していく未来像が考えられます。

(by JIN)

10th 11月2013

OTOSHA48「これからの時代の働き方って?」受講記録

by tenpei

おとなの社会科、スタッフの天平です。今月は「これからの時代の働き方」について学びました。以下、3点に分けてまとめていきます。

(1)15年前の働き方はどうだったか?

(2)15年後はどのような働き方になるか?

(3)働き方、生き方、社会のあり方、を考える。

 

(1)15年前の働き方はどうだったか?

仕事でメールは使わない。そもそも個人のメールアドレスはなかった。会社のHPもなかった。ポケベルやフロッピーディスクをまだ使っていた。パソコンは頻繁にフリーズするので信用できない。手書きが主流。パソコンは1人1台の時代がくるか?という議論をしていた。9時~17時で働くのが当然。在宅勤務など多様な働き方はなかった。

(さらに…)

29th 10月2013

OTOSHA47「フリートーク」Day2受講記録(by JIN)

by JIN

おとなの社会科CS担当のJINです。
OTOSHA47「フリートーク」Day2の受講記録を書きます。

今月から、おとなの社会科では、「分かりにく議論を整理すること」を目標として、月2回のセミナー構成とします。Day1ではあらかじめ定めたテーマに沿ってpacoさんの講義を中心に進め、Day2は、出席者の疑問に関するフリーディスカッションにします。

Day2は、銀座のBeez実施し、テーマは、米国のデフォルトです。

Day2で、私自身、クリアになった点は、次の2点です(講義の内容全般については、菊地天平さんの投稿をご参照ください)。
■米国債上限引上げ可否の争いは、建国以来の対立を背景にしている
■デフォルト発生の帰結は、信用によって決まる

以下、具体的に書きます。

■米国債上限引上げ可否の争いは、建国以来の対立を背景にしている

米国債上限引上げ可否の争いは、期限ギリギリで決着をみました。過去にも何度も争われて来たこの「行事」とも言える米国の政争について、単なる政治パフォーマンスとして、落とし所は最初から決まっているとみる向きもあります。しかし、回を重ねる毎に決着のタイミングがギリギリになってきており、どのような背景で対立が生じているのかについては、よく理解しておく必要があります。そこを理解しておけば、実際に決裂するのかどうかについて、ある程度の考え方を持っておくことができるからです。

国家債務に上限を設ける発想の背景には、個人や州の自治を優先し、国家による税徴収の干渉を徹底的に排除していこうとする考え方があります。個人の私的財産権保障を最優先し、国家の役割は最低限の社会秩序維持のみに留めようとするリバタリアンの考え方です。そのイデオロギーの源泉は、元々、英国による税徴収への反抗から独立した米国の建国の経緯にあります。権力の主体が英国から米連邦政府に移っても、税金徴収の主体である点では変わりはないため、政府の役割の最小化を求めるのです。

これに対して、特に、1929年の大恐慌後、国家が巨大公共事業を手掛けて雇用を創出する事で実質的な個人の自由・民主主義確保に貢献したと評価されるニューディール政策を契機として、大きな政府を志向するリベラリズムが生じました。このリベラリズムの観点からすれば、ある程度、連邦政府の債務が膨らみ国家が肥大化しても、国民の実質的自由を確保する国民皆保険制度を創設できるならそれでよし、という結論になります。

明治維新以来の中央集権国家である日本に住んでいると、なかなかリバタリアンの発想は理解しにくい所があります。しかし、彼らの中には、究極的には、連邦政府が割れて州が独立してもよいという考え方もあり得ます。そのレベルまで踏み込んだ対立が、実は、米国債上限引上げ可否の争いの背景には潜んでいる事を理解しておく必要があります。

■デフォルト発生の帰結は、信用によって決まる

米国のデフォルトが発生した場合の最も大きな懸念事項は、経済の急激な変動です。具体的には、米国内の経済混乱により貿易輸出入が大きな影響を受けます。また、円為替や日本国債に影響が及ぶことになれば、預金封鎖やハイパーインフレ等が想定されます。こうした大混乱の状況下では、ごく少数の人はうまく立ち回って大儲けをするものですが、多くの人にはマイナスの影響がでることが懸念されます。

しかし、米デフォルトが直ちに上記の事態を引き起こすかというと、そうではありません。デフォルトとは債務不履行ですが、不履行がただちにパニックを起こすものではないからです。債務不履行には、履行不能・履行遅滞・不完全履行があり、国債の債務不履行にも、利息の不払いと本体債務の不払いとがあり得ます。したがって、一口にデフォルトと言っても、たとえば、それが、利息の履行遅滞であり、将来の確実な返済が信用されているのであれば、パニックは起こらない可能性があります。

たとえば、現在は国際通貨決済は米ドルが基軸通貨となっていますが、急いでユーロや円・元等の通貨バスケットを基軸通貨に置き換えるスキームを構築し、新バスケット通貨による返済を約束するといった手法が可能です。

こうした対策を考えて行くと見えて来るのが、デフォルトはそれ自体が問題ではなくて、本質的な問題は、返済への信用にある点です。元々、紙幣や国債自体、金塊等の裏付けの無い信用のみに基づいて成り立っている訳ですから、「信用」こそが命なのです。

ただ、危機が生じた場合に想定される、こうした信用創造行為に対して重大な脅威として懸念されるのが、世界で数千兆円にも上る規模があるとされる実経済の裏付けを欠いたボーダレス・マネーです。このお金は、世界の経済秩序等は全くお構いなしに、自らの利益追求目的のためだけに、利ざやを見込んで流れ込んできます。たとえば、国債が暴落すれば利益がでる金融商品(クレジットデフォルトスワップ:CDS)を大量に買い込むことで、国債の暴落を仕掛けて来ます。その速さは、やろうと思えば、1秒の百分の1レベルに達します。そうなれば、信用確保のためのスキームを組んでいる余裕等消し飛んでしまいます。なので、そのことには充分に留意しておく必要があります。

(by JIN)

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