24th 12月2012

OTOSHA38「EUの今」day3受講記録(by JIN)

by JIN

おとなの社会科CS担当のJINです。
OTOSHA38「EUの今」day3の受講記録を書きます。

本稿では、受講者目線で、セミナーの受講記録を書きます。なお、一部JINの私見にわたる個所が含まれる点、ご容赦ください。

12月は「EUの今」をテーマとして、3回、セミナーを行いました。同月は、株式会社プロジェクトプロデュース様のご厚意により、オフィスをお借りして実施しました。

Day3のポイントは、次の3点です。
■EU加盟国への財政支援には経済的合理性がある
■EUでは、統合が地域独立の機運を生んでいる
■東アジア圏構想は現実的な選択肢の1つである

以下、具体的に書きます。

■EU加盟国への財政支援には経済的合理性がある

ここ数年にわたってEUの課題となってきたギリシャ危機は、実質的にデフォルトさせ、3兆円程度の国債について3割程度低い金額で買い戻すことで、IMFからの融資を継続させるとして、現在の所、小康状態を保っています。

EUでは、財政健全化のために、首脳レベルでの会合も含め、何度も話し合いの機会を持ってきました。結果として、財政危機に対応する欧州基金(EMC)も数百兆円規模に膨らみ、危機対応能力を身に付けて来ました。

ところで、こうした基金への拠出は、主にドイツが担っています。それは、必ずしも「道義心」のような精神論だけによるものではなく、拠出および財政支援を行う事がドイツにとっても経済的にみて合理的だからです。

1つは、ドイツは製造業国家なので、市場を自国に留めておくよりも、ギリシャ等の他国にも市場を広げた方が経済的メリットがあります。現に、ドイツは、その恩恵を受け、ここ10年位、先進工業国の中では、ほとんど唯一、経済的に発展してきました。また、ギリシャ等から人件費の安い労働力が流れ込んでくる事もドイツ企業に有利に働いています。

もう1つには、欧州における一国家の財政破たんは、その影響がその国家内に留まらず、たとえば、失業者の国外流出等、近隣諸国に影響を及ぼさざるを得ない点が挙げられます。

このように、EUにおいては、短期的な損得勘定よりも、中長期的な経済合理性を勘案して、財政支援の意思決定を行って来ました。

■EUでは、統合が地域独立の機運を生んでいる

EUは、欧州圏内の統合を図る道を進んできました。しかしながら、英連邦下のスコットランド独立運動や、スペインにおけるバスク地方独立運動等、逆に、国家内の各地域は、独立する方向へと動いています。

これらの独立運動は、「国家」を飛び越えてEU傘下に収まった方が得策との判断もあって起きて来ています。もちろん、EU加盟には、財政規律に関する厳しい条件等をクリアしていく必要はあります。しかし、その条件等をクリアしてしまえさえすれば、小国と言えども、その発言権等は確保していこうとするのがEUの理念です。また、前項に見たような財政破たん時の支援も望み得るメリットがありますし、EU域内外からの他国からの侵略に対しても、EUとしての支援を望み得ます。

これらのEU加盟のメリットの方が、国家の傘下に収まっているよりもメリットが大きいと判断されるケースが多くなってきていることが、独立機運の背景にあると考えられます。

■東アジア圏構想は現実的な選択肢の1つである

日本では、英米メディア→日本メディア経由で、EUの統合に関してはネガティブな情報が流れて来がちです。たとえば、財政危機がEUの破綻をもたらすといった論調です。その背景には、EUが信認を得過ぎると、相対的に、英米の覇権が低下することから、英米メディアがネガティブな情報を流しがちである事があります。

しかし、EUの財政危機も、先に触れたギリシャの実質デフォルトを以って一段落したと見られています。このことは英報道機関「Financial Times」も認めている所で、2013年には、EU経済は上向くとの観測が広がっています。

こうしたことに照らせば、EU類似の経済構造を東アジアに現出させるというのは、1つの有力な選択肢として考えられます。日本では、鳩山元首相がこの主張を掲げた所、米国に叩きつぶされました。しかし、アセアンからは、アセアンの拡大版として日本・中国・韓国を加えるべく、以前から秋波が送られています。これは、実は、東アジア圏構想類似の発想と考えられます。

仮にこうした東アジア圏構想を前提とする場合は、日本においても、EUに見られるように、道州単位で独立機運が高まって来ることが考えられます。たとえば、九州であれば、関東よりも距離的に近い韓国や台湾と交易を結ぶ、といったように。このような意味での道州制は、今後、日本が発展していく1つの可能性を指し示しています。・・・奇しくも、この点については、30年前から大前研一氏が主張している「地域国家論」と重なって来るのでした。

(by JIN)

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