23rd 7月2012

OTOSHA33「サンデルの政治哲学」Day1~3受講記録

by tenpei

おとなの社会科、営業担当の天平です。一人の受講者として感じたことを書いていきます。

■Day1のポイントは「功利主義は社会問題の解決の原理原則にはならない」です。
功利主義(ベンサム流)の考え方は「最大多数の最大幸福」。 簡単に言うと、質ではなくて、量で判断する考え方。例えば 「橋の上に巨漢がいます。橋の下には小学生の列に 突っ込んでくる暴走車がいます。巨漢を橋から突き落せば 暴走車は巨漢に当たって止まり、小学生達は助かります」 という状況下で、最大多数の最大幸福(=小学生達が助かる) ためであれば、巨漢は突き落して殺して良い と功利主義では考えられます。

さて、この考え方で社会問題を考えてみましょう。 功利主義で若者の失業問題を考えると、 「大多数が仕事に就けば良い。仕事の質は問わない」 という事になります。 大多数が仕事に就けば、少数は排除されて良い。 更に、質は問わないので、望まない仕事に就かされるのも良し となります。 これは個人の自由を剥奪しうるものです。 うーん。功利主義はダメだなー。では、社会問題の解決の原理原則は何を基準に考えれば良いのでしょうか?

 

■Day2のポイントは「リバタリアニズムは社会問題解決の原理原則になりうるのか?」です。

まず、用語から整理してみます。

●リバタリアニズム(自由至上主義)

・個人の自由を極端に重視(自由の阻害を極端に嫌う)

・政府は小さければ小さい方が良い

・政府による富の再分配は強制力があり、自由を阻害されるのでNG  (自らの富を強制的に搾取されるから)(個人による再分配は自由)

・若者の失業問題:政府は支援すべきではない

●リベラリズム(自由主義)

・個人の自由を尊重する思想

・政府を大きくすることが目的ではないが、大きくなるのが一般的な理解

・政府による富の再分配は必要であり、積極的にやるべきである

・若者の失業問題:政府は積極的に支援すべき

●功利主義

・最大多数の最大幸福(の為なら個人の自由は阻害されてもよい)

・政府の大きさは問題にしていない

・政府による富の再分配が「最大多数の最大幸福」になるのであればOK

・若者の失業問題:「最大多数の最大幸福」になるのであれば支援すべき

さて、リバタリアニズムだと、一部に富が集中して、 大多数が貧困にあえぐ状況でも、政府による支援は必要ないと考える。 これってよい社会なのか? リベラリズムは良さそうに見えるけど、穴がない訳ではなさそう。では、何を原理原則にして考えたら良いのか?

 

■Day3のポイントは「社会問題解決の原理原則となる考え方は探求中である

功利主義、リバタリアニズム(自由至上主義)、リベラリズム(自由主義)、 カントの哲学など、「この考え方を適応させれば大丈夫」という絶対解は存在しない。サンデルも、世界中の哲学者も探求中である。重要なのは、自らがどのような原理原則で現在の問題を考え、他者も含め、そこに矛盾が生じていないか?を考える事にある。根源から見直して、最善の解を選んで進んでいけば良いのだ。

★この歩みの中で「批判」という思考がポイントになります。 人間が知恵を進化させていく為には「批判」が不可欠である。 「批判」とは「比べて判断する」「吟味する、検討する」であり、西洋の哲学者が行ってきた思考だ。現代の日本人は「批判」を「非難」という意味で使っている。日本人は「批判」の意味を正し、もっと「批判」をしていくべきだ。そうすることで知恵を進化させ、よい社会を構想していける筈だ。

最後に、パコさんがfacebookでこんな事を言っていた。『哲学とは、「知を愛すること」です。モヤモヤこそ、考えるべきことが残っているということですから、哲学そのものです』  知の巨人の発する言葉は凄いなあー。 これからも考えることを放棄せず、 知を愛していこうと思いました。

One Response to “OTOSHA33「サンデルの政治哲学」Day1~3受講記録”

  • paco

    確かに、社会の正義をめぐる原理はまだまだ模索中です。でも、人間はいくつもの失敗をしつつも、そこから学び、いくつかの画期的な合意に成功しています。

    自由、人権、法による支配(法治主義)、民主主義など。これらは200年前にはまだ仮説に過ぎず、500年前にはまったくあり得なかったような考え方です。また、社会の原理は民族や国によって異なるのが当然で、全人類が合意できるような原理はないと考えられていました。

    しかし、現在では、人類共通の原理が次第に明確に合意されるようになり、人種や民族、宗教を越えて、共通の価値を承認するようになりました。それによって、日本人が遠いアフリカ人に民主主義や人権、法律を教えることもできるようになりました。

    確かに共通の原理を見つける道は、まだまだ先です。しかしその努力は確実に実を結んでいるのも事実です。

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