20th 3月2013

OTOSHA40「TPP」Day2受講記録(by JIN)

by JIN

おとなの社会科CS担当のJINです。
OTOSHA40「TPP」Day2の受講記録を書きます。

今年のおとなの社会科では、「議論する力をつけること」を目標として、毎月テーマを決め、月2回のセミナー構成とします。Day1で、テーマに関するイシューを固め、そのイシューを元にFacebookで議論を深めた後、Day2を総括のセミナーとします。

3月のテーマは「TPP」です。株式会社フジクラ様のご厚意により、会議室をお借りして実施しました。

Day2は、Day1のイシュー出し後、Facebook上の「ニュースまる見えカフェ」における議論等を踏まえて、TPPに関する議論の総括を行いました。Day2では、TPP賛成派の人たちの参加もあり、pacoさんがイシューをどのように整理していくのか、その実践を学ぶことができる場でもありました。

TPPは、次の4つのイシュー検討の結果、反対する事になるというのが、Day2の結論でした。
■TPPによって本当に経済効果は見込めるか?
■遺伝子組替作物に問題があるのではないか?
■健康保険制度が破壊されるのではないか?
■ISD条項は日本にとって不利ではないか?

以下、具体的に書きます。

■TPPによって本当に経済効果は見込めるか?

TPPの経済効果は、+3.2兆円と政府は発表し、報道されています。
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2013/130315_touitsushisan.pdf
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL150TK_V10C13A3000000/

しかし、この試算は、関税障壁除去のみを前提としたものであり、非関税障壁については、検討の外に置かれています。実際には、日本の関税は戦後の日米貿易摩擦において引き下げられてきており、現在では、米などの一部農産物について高い関税が残されているのみです。TPPは、米国が日本に参加を求めて来ているものであり、関税障壁に限ってみれば、米国にそれほど大きなメリットはありません。米国が狙っているのは、非関税障壁の撤廃と考えられます。

非関税障壁ににおいては、TPP参加後における、参加国間の交渉力が物を言います。そして、この分野では、日本は米国に敗退を重ねています。たしかに、自動車については、輸出の自主規制の強要に対して、現地生産化等の対応で乗り切って来ました。しかし、独自開発していたCPUはintelをバックとする米国に叩きつぶされ、官民挙げて開発していた国産OS「トロン」もMicrosoft & 米国からの圧力で同様の憂き目に遭って来ました。そもそも、日本は、米国からの一方的な年次改革要望書に沿った政策を基本としており、対等な交渉の前提を欠いています。したがって、非関税障壁の分野において、日本は大きなダメージを受ける可能性が高いです。

したがって、非関税障壁も併せて考えた場合、日本は経済的損失を被る可能性が高いと言えます。

■遺伝子組替作物に問題があるのではないか?

遺伝子組替作物は、その安全性について問われることが多いのですが、安全性以上に大きな問題が、いくつか、あります。それは、遺伝子組替作物大手モンサントのような企業が肥え太り、日本の農家・農村が衰退するという弊害です。このことは、モンサントが既に進出している中南米等で、すでに現実に起きている事です。

モンサントは、常に遺伝子組替作物を除草剤とセットで販売します。この除草剤は、遺伝子組替作物以外は、雑草のみならず、農作物もすべて枯らすものです。そのため、一旦、この除草剤を撒いた土地には農作物が実ることはなく、農家は、遺伝子組替作物に頼らざるを得ない状況に陥ります。しかも、遺伝子組替作物は種を実らせないため、農家は借金をしてでもモンサントから購入せざるを得ないことになり、破綻していきます。

また、モンサントの作物を導入していない農家も、モンサントの作物から自然受粉を受けると知的財産権侵害で訴えられ、破滅させられます。

このようにして遺伝子組替作物がはびこって来ると、品種の単一化が進展します。そうすると、これに耐性を持った害虫等が出て来た場合、農作物のダメージは莫大なものになっていきます。

このように、TPPによって、現在日本では禁止されている遺伝子組替作物が日本の農地に進出してくる場合には、日本の農業は壊滅的なダメージを受ける可能性があります。

■健康保険制度が破壊されるのではないか?

日本では、医療保険に関して、公的な国民皆保険制度が整備されています。その結果、企業や高所得者が支払っている高額の保険料によって低所得者や高齢者に対する医療措置が賄われています。保険の分野において、社会配分の是正が図られているのです。

この公的健康保険分野に民間保険会社の参入が自由化されれば、保険事故リスクの少ない若者等の保険料引き下げ・保険金額増、リスクの高い高齢者・障がい者等の保険料引き上げ・保険金額減というポリシーを持った保険会社が生き残っていく事になります。結果として、弱者は弱者のままいつまで経っても這い上がれない社会構造が出来上がります。これが、現に今、米国で起きている事で、たとえば、普通のサラリーマンでも、一度、障害を負えば、保険料増・保険金額減の保険条件を突きつけられ、2度目の障害に陥った後は、家のローンの支払いが滞りホームレスに転落せざるを得ないといった事態が生じて来ています。

他方、有利な保険条件を設定できる保険会社は肥え太ります。また、高額な保険料を支払える富裕層も生き残ります。したがって、日本でも最近拡大し始めた高所得者と低所得者の二極化現象が更に拡大していきます。弱者を痛めつける事になるこのシステムに乗って、上澄みの利益は米保険会社にさらわれていく事になります。

■ISD条項は日本にとって不利ではないか?

ISD条項は、国が新たに規制を設けた事で企業に損害が生じた場合、企業が国を相手取っての損害賠償についてISD裁判所に申し立てる事を認めるものです。現在、TPP交渉において、日米は導入に賛成しています(オーストラリアは反対)。

ISD裁判所の実質的な形態がどうなるかは、今後のTPPにおける交渉で決まります。しかし、はっきりしていることは、その基本理念は「徹底した自由競争」に置かれ、国内法に優先して適用される、ということです。また、これまで、他のFTAで設けられた裁判所の例を見ると、一審制になっています。

このISD条項の特性は、民主的な裏付けを持たない私企業が訴訟の一方当事者になるという点です。私企業は、国と比較すれば、資本主義自由競争を徹底する性格がありますので、自由競争を原理とするISD条項裁判においては、有利な立場を占めます。過去のFTA裁判においても、私企業が勝訴した例の方が敗訴の例を上回っています。

日本は、遺伝子組替や健康保険制度等の分野等において、ISD条項を武器とした米国企業から叩きのめされ、没落していく危険があります。

(by JIN)

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