10th 10月2013

OTOSHA46「農業がダメになると何が起こるの?」受講記録

by tenpei

おとなの社会科、スタッフの天平です。今月は「農業」について学びました。 以下、6点に分けてまとめていきます。

(1)世界の食料は足りるのか?

(2)他の産業に対して農業は競争力があるか?

(3)食料は自給すべきか?

(4)日本の農業に競争力はあるか?

(5)農業生産性は日本は高いのか?

(6)農産物の輸出国は何を狙っているか?

 

(1)世界の食料は足りるのか?

結論から書くと「わからない」です。「足りる」「足らない」の代表的なロジックは以下3つあります。

<1>足りない:期末の食料在庫(穀物=主に小麦や米)をみると1980年ぐらいをピークに期末在庫は減少傾向にある。だから今後、足らなくなると考える。

<2>足りる:近年、穀物相場が見えるようになった。そこで、相場の動きに合わせて生産調整をしている。つまり、期末在庫が減っているのは生産調整の影響であって、まだまだ生産余力はある。

<3>足りる:近年は食の肉食化が進み、牛や豚の飼料として沢山の穀物が使われている。今後、穀物価格が上昇すれば、飼料としての穀物利用が減る。そして、肉の生産も減る。そうなれば人間が食べる穀物は十分に確保できるだろう。

世界の食料が足りるかどうかは「わからない」なかで懸念点が一つある。それは地域の不安定化だ。穀物価格が上昇すれば、貧しい人は食料が買えなくなる。それによって大規模な暴動が起き、地域の不安定化に繋がるおそれがある。穀物メジャーは価格を吊り上げたいので、その動きと地域の不安定化は注意してみる必要がありそうだ。

 

(2)他の産業に対して農業は競争力があるか?

単位面積当たりの生産性を考えると、第二次、第三次産業に対して不利。アメリカやオーストラリアの大規模耕作地でさえ難しい。 特定のブランドを除き、自助努力によって他の産業と同等の収入を得ることは難しい。そうすると農業従事者が減少してしまうので、特に先進国は国からの補助が必要不可欠。

 

(3)食料は自給すべきか?

食料やエネルギーの考え方はそれぞれの国の意思によるもの。例えばフランスはこれまでの教訓から、自国の意思決定を食料やエネルギー問題によって左右されたくないと考える。そして食料とエネルギーの自給率を高める政策をとる。

日本の穀物自給率は20%代。これを70%程度まで上げた方が良いと私は考える。米を主食とした場合、日本の田んぼを全て稼働させれば、これは可能な数字。実際は米や小麦の組合せになるが、自給率を上げていきたい。

 

(4)日本の農業に競争力はあるか?

高付加価値の農産物はある。が、これは高価格の少量生産であり、低価格大量生産が必要な主食にはむかない。また、日本の農業技術は積極的に新興国に教えている面もあるので、付加価値が世界に吸収されるスピードは早い。

個別商品として生き残れるものはあるだろうが、全体としては世界的に日本の農業が競争力があるとはいえず、あるものについても維持するのは簡単ではない。

 

(5)農業生産性は日本は高いのか?

農業生産性は1戸あたりの農地面積から判断できる。日本は1.8ヘクタール。北海道は22ヘクタール。欧州は16.9ヘクタール。米国は180ヘクタール。豪州は2423ヘクタール。つまり、まったくもって世界には歯が立たない。

日本では10ヘクタールを超えると農業所得が500万を超えるので、職業として魅力が出てくる。つまり、日本の生産性を上げるには農地の集約化が必要不可欠。

 

(6)農産物の輸出国は何を狙っているか?

国内で消費しきれない過剰生産品は国外に有利な条件で売ろうとする。それは農家を潰さない為だ。政治家は農家への補助政策を考え、農家からの票を得て当選、実際に政策を実行して農家へ補助をする(第二次、第三次産業からの税金で)、そうするとまた農家からの票を得られる、というサイクルだ。

このサイクルの維持には、なるべく高く過剰生産品を買ってもらうことも重要だ。その結果、日本のような人口が多く、沢山買ってくれる国に対して圧力をかけることになる。日本は工業品を優先して農業については譲歩してきた為、結果として自給率を大幅に下げることとなった。

巧みに輸入制限、関税、農家への補助金、といった道具を使い分けていかないと、ますます日本の自給率は下がることになるだろう。

 

以上、農業についての全てが概観できてスッキリした!という状況までは到達していませんが、明らかに今までより見える景色が変わったと思います。まだモヤモヤしているところはあるけど、まったく視界が見えない、見ようとしない(うやむや)状況とは大きく異なります。これからも重要なテーマを“うやむや”にせず、“モヤモヤ”ぐらいまで必ず持っていこうと思います。

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