29th 10月2013

OTOSHA47「フリートーク」Day2受講記録(by JIN)

by JIN

おとなの社会科CS担当のJINです。
OTOSHA47「フリートーク」Day2の受講記録を書きます。

今月から、おとなの社会科では、「分かりにく議論を整理すること」を目標として、月2回のセミナー構成とします。Day1ではあらかじめ定めたテーマに沿ってpacoさんの講義を中心に進め、Day2は、出席者の疑問に関するフリーディスカッションにします。

Day2は、銀座のBeez実施し、テーマは、米国のデフォルトです。

Day2で、私自身、クリアになった点は、次の2点です(講義の内容全般については、菊地天平さんの投稿をご参照ください)。
■米国債上限引上げ可否の争いは、建国以来の対立を背景にしている
■デフォルト発生の帰結は、信用によって決まる

以下、具体的に書きます。

■米国債上限引上げ可否の争いは、建国以来の対立を背景にしている

米国債上限引上げ可否の争いは、期限ギリギリで決着をみました。過去にも何度も争われて来たこの「行事」とも言える米国の政争について、単なる政治パフォーマンスとして、落とし所は最初から決まっているとみる向きもあります。しかし、回を重ねる毎に決着のタイミングがギリギリになってきており、どのような背景で対立が生じているのかについては、よく理解しておく必要があります。そこを理解しておけば、実際に決裂するのかどうかについて、ある程度の考え方を持っておくことができるからです。

国家債務に上限を設ける発想の背景には、個人や州の自治を優先し、国家による税徴収の干渉を徹底的に排除していこうとする考え方があります。個人の私的財産権保障を最優先し、国家の役割は最低限の社会秩序維持のみに留めようとするリバタリアンの考え方です。そのイデオロギーの源泉は、元々、英国による税徴収への反抗から独立した米国の建国の経緯にあります。権力の主体が英国から米連邦政府に移っても、税金徴収の主体である点では変わりはないため、政府の役割の最小化を求めるのです。

これに対して、特に、1929年の大恐慌後、国家が巨大公共事業を手掛けて雇用を創出する事で実質的な個人の自由・民主主義確保に貢献したと評価されるニューディール政策を契機として、大きな政府を志向するリベラリズムが生じました。このリベラリズムの観点からすれば、ある程度、連邦政府の債務が膨らみ国家が肥大化しても、国民の実質的自由を確保する国民皆保険制度を創設できるならそれでよし、という結論になります。

明治維新以来の中央集権国家である日本に住んでいると、なかなかリバタリアンの発想は理解しにくい所があります。しかし、彼らの中には、究極的には、連邦政府が割れて州が独立してもよいという考え方もあり得ます。そのレベルまで踏み込んだ対立が、実は、米国債上限引上げ可否の争いの背景には潜んでいる事を理解しておく必要があります。

■デフォルト発生の帰結は、信用によって決まる

米国のデフォルトが発生した場合の最も大きな懸念事項は、経済の急激な変動です。具体的には、米国内の経済混乱により貿易輸出入が大きな影響を受けます。また、円為替や日本国債に影響が及ぶことになれば、預金封鎖やハイパーインフレ等が想定されます。こうした大混乱の状況下では、ごく少数の人はうまく立ち回って大儲けをするものですが、多くの人にはマイナスの影響がでることが懸念されます。

しかし、米デフォルトが直ちに上記の事態を引き起こすかというと、そうではありません。デフォルトとは債務不履行ですが、不履行がただちにパニックを起こすものではないからです。債務不履行には、履行不能・履行遅滞・不完全履行があり、国債の債務不履行にも、利息の不払いと本体債務の不払いとがあり得ます。したがって、一口にデフォルトと言っても、たとえば、それが、利息の履行遅滞であり、将来の確実な返済が信用されているのであれば、パニックは起こらない可能性があります。

たとえば、現在は国際通貨決済は米ドルが基軸通貨となっていますが、急いでユーロや円・元等の通貨バスケットを基軸通貨に置き換えるスキームを構築し、新バスケット通貨による返済を約束するといった手法が可能です。

こうした対策を考えて行くと見えて来るのが、デフォルトはそれ自体が問題ではなくて、本質的な問題は、返済への信用にある点です。元々、紙幣や国債自体、金塊等の裏付けの無い信用のみに基づいて成り立っている訳ですから、「信用」こそが命なのです。

ただ、危機が生じた場合に想定される、こうした信用創造行為に対して重大な脅威として懸念されるのが、世界で数千兆円にも上る規模があるとされる実経済の裏付けを欠いたボーダレス・マネーです。このお金は、世界の経済秩序等は全くお構いなしに、自らの利益追求目的のためだけに、利ざやを見込んで流れ込んできます。たとえば、国債が暴落すれば利益がでる金融商品(クレジットデフォルトスワップ:CDS)を大量に買い込むことで、国債の暴落を仕掛けて来ます。その速さは、やろうと思えば、1秒の百分の1レベルに達します。そうなれば、信用確保のためのスキームを組んでいる余裕等消し飛んでしまいます。なので、そのことには充分に留意しておく必要があります。

(by JIN)

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