07th 1月2012

otosha26「インターネットと民主主義(後半)」Day1受講レポート

by paco

おとなの社会科CS担当のJINです。
OTOSHA26「民主主義とインターネット 後半」Day1の受講記録を書きます。

本稿では、受講者目線で、セミナーの受講記録を書きます。なお、一部JINの私見にわたる個所が含まれる点、ご容赦ください。

12月は、「民主主義とインターネット 後半」をテーマとして、2回、セミナーを行いました。同月は、株式会社プロジェクトプロデュース様のご厚意により、会議室をお借りして実施しました。

「民主主義とインターネット」は、その「前半」2回を2011年3月に実施したのですが、3.11の震災の影響によって、中断していたものの続編として「後半」を行ったものです。

Day1では、3月に実施した「前半」のおさらいも含め、日本の政治の問題点を整理しました。

Day1の主なポイントは、次の3点です。

  • 日本の政治の実態は、官僚主導になっている
  • 日本の選挙制度は民意反映の方法が中途半端になっている
  • 日本の政治運営システムは制度疲労を起こしている

以下、具体的に書きます。

■日本の政治の実態は、官僚主導になっている

憲法上は、民意をもっとも反映している国会が最高の国家機関とされると共に、唯一の立法機関とされています(憲法41条)。

しかし、実態としては、国会の審議・議決の段階では、ほとんどの場合、すでにその法案については決着がついてしまっています。具体的には、法案作成は主に官僚が起案したものを与党の部会で検討する方式で行われ、審議会での審議・国会対策委員会(国対)での野党調整によって、国会の審議前に、法案の内容は固まっています。そして、与党の部会・審議会・国対のすべてにおいて、官僚が深く関わっています。このように、日本の政治(立法)の実態は、官僚主導になっています。この実態は、本来、国会を唯一の立法機関とする憲法の趣旨に反するものです。

■日本の選挙制度は民意反映の方法が中途半端になっている

日本の選挙制度は、小選挙区制と比例代表制を併立させる仕組みを取っています。

小選挙区制は、1選挙区から1名しか選出されないため、死票が多く発生する可能性が高く、多くの民意が反映されない性格を持っています(その半面、少ない民意の変動によって政権交代が生じやすい)。また、選挙者は、必ずしも政党に囚われずに、被選挙者個人に対して投票を行うこともできます。たとえば、小選挙区制を採用している米国下院においては、共和党・民主党の2大政党の何れかが大勢を占めますが、各議員は、党の政策とは関係無しに個人の意思で政策を主張できます。

これに対して、比例代表制は、小さな票も政治に影響を与えることができ、民意の分布がそのまま政策に反映されやすい性格を持っています。選挙者は、政党に対して投票を行うことになります。たとえば、ドイツ連邦議会においては、比例代表制を中心とする選挙制度を取っています(正確には「小選挙区比例代表併用制」ですが、比例代表制中心の仕組みです)。ドイツでは、5つの政党があるため、選挙の数カ月前から連立政権の枠組み・綱領が調整してつくられ、選挙で民意を問われます。

米国において、政党の綱領と関わりなく議員個人の主張を政策に反映できるのは、徹底した個人主義に根差すものです。また、ドイツの政党中心の政治制度は、政党をないがしろにして生じたナチスに対する反省に根差すものです。このように、両国とも、現行選挙制度の理念的根拠を持っています。

これに対して、日本の選挙制度は、理念的に中途半端になっています。小選挙区制が導入されたのは、政権交代を起こしやすくするためでしたが、同時に少数政党への妥協によって比例代表制との並立制にすることで、理念が見えない仕組みになっています。その結果、たとえば、マニュフェストを掲げた選挙なのに、選挙後、政党間の合従連衡が生じたり、政党無所属議員が多数存在したりする等しており、選挙者は、自分の主張に沿った投票をすることが非常に困難になっています。

理念を明確化した上で、選挙制度を考え直すことが、今、求められます。

■日本の政治運営システムは制度疲労を起こしている

日本の議会は二院制を採用しています。歴史的に、参議院は、明治憲法下での貴族院を出自としています。それが、終戦時、GHQ指導による憲法改正によって、参議院は、米国流の上院・下院対等型の「上院」という位置付けに変わりました。米国においては、徹底した権力分立の観点から、議会を選出基盤の異なる二院に分割することで権力抑制を図っています。そのため、上院は各州、下院は全国の小選挙区を選挙基盤としています。ところが、現行の参議院選挙は、衆議院と同じく、小選挙区・大選挙区および比例代表制との並立制を採用しています。そのため、衆議院の選出基盤と殆ど変わる事はない状況になっており、参議院の存在理由が問われる事態に立ち至っています。

このように、存在理由が不明確な状況に陥っている参議院が、それでも、衆議院と対等の立場にあるため、政権与党が参議院で過半数を取れない「ねじれ」が生じた場合、「オモテ」の国会運営だけでは政権運営が困難になります。そのため、政治運営の実態は、先述のとおり、官僚主導の「ウラ」で握っていくシステムになっています。結果として、部会にヒモ付いた族議員に繋がる業界だけに利権が集中する政治システムとなっています。

経済が右肩上がりの時代は、分け合う元になるパイ自体が増加していたため、多少、政治的利権が特定業界に偏っていても、問題はそれほど表面化しませんでした。しかし、デフレの時代に入り、経済のパイ自体が減少していく現在においては、特定業界への利権分配は、その他大勢の国民の損失に直結してしまいます。

そのため、現在の日本の政治運営システムは制度疲労を起こしていると言わざるを得ず、多数の国民に公平に政治的利益が還元される仕組みを再構築することが、今、求められています。

これ以前の受講レポートはこちらに(→Click!

 

(by JIN)

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