08th 10月2014

OTOSHA60「社会学:がんばっているのに仕事に就けなくて困ったら、自分のせい?」

by tenpei

頑張ったけど、就職できなかった」という学生に対して、「単なる努力不足でしょ」「仕事ならいくらでもある」「好きなことができる訳じゃない」「とりあえず何でもいいから就職したら?」というような声があびせられる。

社会問題として「若者の就職」を捉えた場合、何を考えたらいいのか?について今回は学びました。以下、5点に分けて着目すべき論点を整理してみたいと思います。

(1)仕事の数、内定率を考える
(2)望む仕事と望まない仕事
(3)仕事内容の変化
(4)若者の能力
(5)どんな仕事に就いたらいい?


(1)仕事の数、内定率を考える
まず考えたいことは、求人の絶対数はどうなのか?そのなかで正規雇用の数はどうなの?だ。求人数が増えているといっても、非正規雇用の求人ばかり増えていたら問題だ。
次に、内定率の問題について考える。例えば100名の学生がいる大学で、10月時点で50名が内定をもらっていたとしよう。かりに100名全員が就職する意向があるとすると、内定率は50%だ。
では、3月末に発表される内定率はどれぐらいか?だいたい「90%代後半」といった高水準になる。「今年もほとんど就職できて安心だ」と思ってはいけない。過酷な就職活動の中で、就職を諦めた学生は分母から除外される。「25人は就職を諦めました。だから分母は75人にします。70名は内定をもらえたから、内定率は93%です」といった具合だ。
内定率のマジックに騙されることなく、状況を見ていきたいところだ。

(2)望む仕事と望まない仕事
誰もが望む仕事に就きたい。でも、望む仕事の求人がないかもしれない。また、求人はあるけど見つけられないかもしれない。望む仕事とのマッチング。ここはよく考えていきたいポイントだ。
次に、望まない仕事に就くことをどこまで許容するか?についても考えておきたい。誰もが望む仕事につけるとは限らないし、望まない仕事についても、それが天職になることだってある。でも、だからといって「望まないでも絶対に働け」としてしまっては、働くことへの夢も希望もなくなってしまいそうだ。

(3)仕事内容の変化
仕事内容が昔に比べて過酷だ。という意見は正解でも不正解でもありそうだ。昔は時間をかけて人を育てた。いまでもそういう企業はある。しかし、「即戦力だ」と言って、これまで3年かけて教えていたものを、1年で覚えさせようとしたりする企業が増えている。
人が成長するには時間が必要だ。そもそも1年じゃ習得できないことを習得させようとし、できない奴を「あいつはダメだ」と扱ったりする。こういった状況が増えると、働くことに対する若者のモチベーションは低下していく。

(4)若者の能力
若者の能力が低下している。という声も聞く。これも正解であって、不正解でもありそうだ。驚くほど優秀な学生は沢山いる。大学を出てすぐに起業するような人もいる。しかし、起業することを考慮していない大学のカリキュラムでは、能力不足のままで卒業してしまうケースもある。大学の「就職ありき」の姿勢は見直すべきタイミングにきていそうだ。
一方、少子化の結果、いままで大学に入れなかった学力の人も、大学に入れるようになっている。高校で身につける基礎学力が不足したまま大学に入り、それを補えずに卒業していく学生もいる。「大学での高校レベルの学力の再教育」が必要になっている。
「大学生の能力は昔より差が広がっている」と考え、それに合わせたカリキュラム構築が必要だ。

(5)どんな仕事に就いたらいい?
これまで人が手作業で行っていた仕事が、機械やシステムに置き換えられたり、仕事が人件費の安い国に移ったりしている。これを仕事のコモディティ化と呼ぶ。この仕事は将来、誰と?何と競合していくことになるのか?を考えて、コモディティ化しにくい仕事を選ぶことも考えた方がよさそうだ。
ちなみに英語が母国語のアメリカは、仕事がコモディティ化しやすい。英語を世界中に広めた結果、人件費が安い国に国内の仕事を移行している。これは企業にとってはいいかもしれないが、国民にとっては不幸である。それは雇用機会がなくなるからだ。
残念ながら、日本でも仕事のコモディティ化は進んでいく。その中でどのような仕事を選び、どのように働いていくのか、これも考えていきたいことである。また、グローバルスタンダードに反して、「あえて日本語で仕事をする」ということを選んでも面白そうである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>